
前編では、まず一度に炒める量を見直してみよう、というお話をしました。野菜を無理なく動かせる量にすると、上下を返しながら炒めやすくなります。
でも、量を控えても、炒めているうちに水は出てきます。
この後編では、水が出る理由と、出すぎる前に仕上げるコツ、そして出てしまったときの対処をまとめます。
前編はこちら:野菜炒めが水っぽくなるのはなぜ?【前編】まず見直したい「入れる量」
野菜はほとんど水でできている
野菜には、もともとたくさんの水分が含まれています。キャベツや玉ねぎなら、およそ9割が水分です。
加熱すると野菜の組織が変化して、中の水分が外に出てきます。炒めているうちに野菜がしんなりして、フライパンに汁がたまってくるのも、そのためです。
塩やしょうゆなどで味をつけることも、水が出る要因になります。生の野菜に塩をまぶす「塩もみ」では、浸透圧によって水分が引き出されます。ただ、炒めている野菜は加熱による変化もあるので、塩もみと同じ仕組みだけで説明できるわけではありません。
塩もみの仕組みについては、こちらの記事で詳しく書いています。
つまり、野菜炒めで水が出るのは、それだけで失敗ということではありません。野菜そのものが、たくさんの水を持っているのです。
だから大事なのは、水を一滴も出さないことよりも、自分が好きな食感のうちに仕上げることだと私は考えています。
出すぎる前に仕上げる
私は、野菜に油が回って艶が出て、少ししんなりしたところで調味料を入れ、そこから1分ほどで仕上げます。これは私の普段の目安なので、野菜の種類や切り方に合わせて、火の入り具合を見ながら加減しています。
調味料を入れてからも炒め続けると、野菜はさらにしんなりして、水が出て、ペタペタの仕上がりになってしまいます。お皿に盛ってからも余熱で水が出ることはありますが、好みの状態で火から下ろせば、それ以上フライパンで加熱し続けずに済みます。
ですので、水が出なくなるまで頑張るより、食べたい状態になったところで仕上げる。その方が、私の好きな野菜炒めになります。
野菜に油をなじませる
野菜を入れたら、フライパンを振ったり、木べらで上下を返したりして、まず全体に油をなじませます。野菜に艶が出てくるのが目安です。
油は、フライパンと野菜の間で熱を伝える役割をします。私が目指す、具材が底に触れて焼けて、香ばしさのついた仕上がりにも関わるところです。
ここでも、前編で書いた「入れる量」が大事になります。山盛りで動かしにくいと、全体に油を回すことも、順番に底に触れさせることも難しくなります。
私は、全体に油が回って艶が出て、少ししんなりしてきた様子を見ながら、味をつけるタイミングを決めています。
火力と水分のバランス
炒めている間は、野菜から水分が出る一方で、フライパンの中の水分は蒸発していきます。
出てくる水分に対して、蒸発する量が少なければ、汁がたまります。反対に、水分が飛びきって底が乾いたまま加熱を続けると、焦げ付きやすくなります。
私なら、底が乾いて焦げ付きそうなのに、野菜にはまだ火を入れたいとき、酒か水を少し足します。
水っぽくしたくないのに水を足すのは、矛盾しているように感じるかもしれません。でも、ここでは焦げ付きを防ぎながら、もう少し火を通すためです。
油を足したくなるところですが、私は油を増やすと、ギトギトの仕上がりになることがあります。酒や水も、足しすぎれば仕上がりがペタッとするので、少しずつ様子を見ます。
すでに好みの状態まで火が通っているなら、そこで仕上げれば大丈夫です。
水が出てしまったら
野菜にはもう火が通っているのに、汁がたくさんたまってしまった。そんなとき、私は次のように立て直します。
出た水分を切って、さっと炒める
ひとつは、たまった水分を切ってから、もう一度さっと炒める方法です。
熱いフライパンから汁を切るときは、いったん火を止めて行います。そのあと火に戻し、私は2〜3回振って、残った水分を飛ばします。木べらで返しても大丈夫です。
汁を切ると、そこに溶けた調味料も減るので、最後に味を見て加減します。
ここで長く炒め直すと、また野菜が柔らかくなってしまいます。火を通し直すというより、残った水分をさっと飛ばして仕上げるつもりです。

とろみをつけて、野菜にまとわせる
もうひとつは、水溶き片栗粉を少し入れて、とろみをつける方法です。
汁をなくすのではなく、野菜にからむようにします。シャキッとした野菜炒めとは違う仕上がりになりますが、とろみのついた炒めものもおいしいですよ。
いったん火を止めて水溶き片栗粉を少しずつ加え、全体に混ぜます。そのあと再び火にかけ、混ぜながら、とろみがつくまで加熱します。
入れすぎると重たい仕上がりになるので、たまっている汁の量を見ながら少しずつ加えてください。

肉野菜炒めなら、肉に片栗粉をまぶす方法も
肉野菜炒めなら、肉に片栗粉をまぶしてから、先に炒めておくやり方もあります。
あとから野菜を加えると、出てきた水分に肉の表面の片栗粉が混ざり、加熱されて、とろみがつくことがあります。
水分がなくなるわけではありませんが、汁が具材にからみやすくなります。私は、こんな仕上げ方も使っています。
それでも水が出たら、おいしく食べましょう
ここまでのことをやっても、水が出てしまうことはあります。
そのときは、そのまま、おいしく食べてしまいましょう。
つゆだくの野菜炒めも、とろみのついた野菜炒めも、これはこれで、ご飯にかけたらおいしいですよ。
香ばしく仕上げたい日もあれば、汁ごと食べたい日があってもいい。水が出たから失敗、と決めなくてもよいと思います。
前編の「迷ったら少なめから」と合わせて、気軽に野菜炒めを楽しんでください。

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