
買ったまま何気に使わずに置いてあったじゃがいも。さて今晩カレーにでも入れようかなって、やっと出番のじゃがいもを見たら――やっちゃったー! 遅かったー! なんてこと、結構ありますよね。そして毎回悩むわけです。どうしよう、これって行けるんだっけ? 芽が危ないって聞いたことあるし……。結論から言うと、芽と緑の部分をしっかり処理すれば、多くの場合は食べられます。今回はそのあたり、まじめに向き合ってみました。
芽が出たじゃがいもは食べられるの?
じゃがいもの芽や、緑色に変色した皮の部分には、天然毒素のソラニンやチャコニンが含まれています。これを食べると、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの食中毒症状が出ることがあります。天然毒素で有名どころといえば、ふぐやきのこ。春先になるとニラとスイセンの葉を間違えて食中毒になったというニュースもありますが、これも天然毒素の仕業です。面白いのはビワの種に青酸化合物があるとか、トリカブトとか……もう火曜サスペンスの世界です。とはいえ、じゃがいもの毒素があるのは芽と緑の部分に限られるので、そこさえきちんと処理すれば食べられます。



芽の取り方|正しい処理方法
処理はとにかく「思いきって取る」に尽きます。
- 洗いながら、手で取れる芽はまず取ってしまう
- 芽がある部分(手で取った部分も)を包丁の角で深さ1cm・幅2cmくらい、思いきってえぐる
- 皮も厚めに5mmくらいむく
- それでもまだ緑っぽいようなら、あきらめてさようならする
ケチって表面だけ削ると、根元に毒素が残っていることがあります。「ちょっとやりすぎかな」くらいがちょうどいい処理量です。

捨てるべき?判断基準
以下のような状態は、無理せず処分することをおすすめします。
- 皮を厚くむいても緑色が残っている
- 芽だけでなく茎まで伸びてしまっている
- 触るとブヨブヨ、異臭がする
逆に断面が白〜黄色できれいなら、大体は食べられます。もし芽だけでなく茎が伸びだしているようなら、チャレンジせずにあきらめましょう。
保管方法|芽を出させないコツ
そもそも芽を出させない保管を意識すれば、悩む機会自体が減ります。私も職場では段ボールに砂が付いたままゴロゴロっと入れておきます。たまに八百屋さんがビニール袋に入れて納品するのでそのまま置いてあることがあるのですが、速攻でビニール袋を破きます。ビニール袋に入れたままだとじゃがいもが汗をかくので、濡れてそこから傷んでいきます。2~3日で消費する予定で置いておく時は、せめてビニール袋の口を全開に開いておいた方がいいです。農林水産省も、じゃがいもは暗く涼しく通気性の良い場所での保存が基本とのこと、と言っています。
- 通気性と遮光性のある紙袋や段ボールに入れる
- さらに風通しの良い暗所に置く
- 20℃以上になると発芽・腐敗しやすくなるので、10℃くらいの涼しい場所が好ましい
日が当たると(蛍光灯でも!)緑色になっていくのも、地味に厄介なポイントです。冷蔵庫で保存する必要はないとされていますが、夏場などでどうしても冷蔵してしまう場合は、次の「おいしい食べ方」で紹介する調理法を選べば大丈夫です。
おいしい食べ方|向いている調理法
さて、ここが地味に面白いところです。じゃがいもを冷蔵庫で長く保存すると、還元糖という成分が増えます。この状態のじゃがいもを120℃以上の高温で揚げたり焼いたり炒めたりすると、糖とアミノ酸が反応してアクリルアミドという有害物質ができやすくなります。なんとまあ繊細な。ポテトフライなんてまさにドンピシャの条件です。
一方、煮る・蒸す・茹でるは水を使う調理なので温度が100℃を超えず、アクリルアミドはできにくいとされています。しかも冷蔵して糖度が上がったじゃがいもは、煮物や蒸し物にすると逆に甘みが増して美味しいのだとか。というわけで、このじゃがいもを使うなら粉ふき芋、マッシュポテト、ポテトサラダ、コロッケあたりがおすすめです。いっぱいえぐって形がぼこぼこでも、茹でてしまえば気になりません。
じゃがいもを煮物に使う場合は、ほかの根菜との火の通り方も考える必要があります。根菜を茹でてから味をつけて煮る順番はこちらで紹介しています。
切った後に水にさらすのも実は理にかなっていて、アクリルアミドのもと(アスパラギンや還元糖)を表面から洗い流せるため、農林水産省も揚げ物・炒め物をする際の低減策として推奨しています。
もう一つ豆知識を。ソラニンやチャコニンは水に溶けやすい性質があるので、皮ごと茹でるとゆで汁に毒素が一部溶け出している可能性があります。加熱しても毒素そのものは分解されないので油断は禁物ですが、ゆで汁を飲まない、というだけでも一手間の安心材料にはなりそうです。
農林水産省「じゃがいもの加工調理によるソラニン・チャコニンへの影響」
よくある質問
Q. 芽ごと茹でれば毒は消える? A. 残念ながら消えません。ソラニンやチャコニンは加熱しても分解されないため、茹でても毒素そのものの量はほとんど減らないそうです。ゆで汁には多少溶け出している可能性はありますが、安全のためにも調理前に芽と緑の部分はしっかり取り除いてください。
Q. 緑の部分が少しだけならそのまま食べても平気? A. 少量でも毒素は含まれているので、厚めに皮をむいて取り除きましょう。むいてもまだ緑が残るなら、諦めが肝心です。
Q. 冷蔵庫に入れてしまったじゃがいもはどうすればいい? A. 揚げ物・炒め物は避けて、茹でる・蒸す調理にすればアクリルアミドのリスクを抑えられます。むしろ甘みが増して美味しいので、前向きに使い切りましょう。
まとめ
今度じゃがいもに芽を生やしてしまったら、思い出してください。
- 芽はごっそりとる
- 皮は厚くむく
- それでも緑だったりおかしかったら捨てる
- 芽だけでなく茎が伸びていたらチャレンジせずあきらめる



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